+風俗嬢と恋愛+

風俗嬢との恋愛。
これについて、私の個人的な見解を述べると、「悪いことは言わんからやめておけ」の一言につきますな。

もちろん人によって考え方は千差万別、十人十色。人懐っこい、コミュニケーション大好きっ娘なら、客と外で会ったり、食事をしたり、セックスしたり、恋愛したり、結婚したりするのも厭わないのかもしれないが、私はちょっと、ご遠慮させていただきたいです。

過去に何度か客に本気で惚れられてしまったことがあるが、客と男はまったく別の生物と認識している私にとって、これほど迷惑なことはない。
何が迷惑って、単にうざい、だりい、めんどくせえというだけでなく、非常にうしろめたい気分になるのだ。

なぜなら、「君は幻に恋をしているのさ」
これなんだよ。わかりにくいか? ――つまり、「ごめんな、あんたが惚れたのは私じゃないんだよ。私が演じてる架空の女なんだよ。この世のどこにも存在しない女なんだよ」ということだ。

それを思うと、申し訳ないやら心苦しいやらで、胸ふさがれるような気持ちになってしまうのだ。

俺を悲しくさせるな。


そしてさらには、「こんな風に人を騙して、きっと死んだら地獄だな」なんてことまで思ってしまうのだ。

俺に反省させるな。


頼むぜほんと。
まさに「俺に惚れるとヤケドするぜ(主に俺が)」ってなもんだ。

勝手に勘違いする向こうが悪いと割り切って、ガンガン引っ張って金落とさせちまえ、とも思うんだが、これがなかなか辛いんだ。やはり人間、なかなか鬼にはなりきれねえな。

いっそのこと演技するのをやめればいいのかも知れないが、終始ダルそうなツラで「ういーす」だの「めんどくせえ」だの言ってる女が、この業界でやっていけるとはとても思えない。

ちなみに、水商売時代からの私の定番キャラは、「おとなしくておっとりした優しいコ」だ。笑うな。笑うとこじゃないここは。これが一番楽なんだよ。何言われても「うふふ」って笑ってりゃあその場がしのげるから、ポロが出にくいんだ。

私とて、客商売のキャリアは長い。飲食業界でもずいぶん鍛えられてきた。接客の基本とは、「客を決して不愉快な気分にさせないこと」にあるのではないかと思っている。「客を不快にさせないため」「客に喜んでもらうため」に、時には自分を殺すこともある。と言うか、それができなきゃプロとは言えないだろう。

某ファミリーレストランでは、フロアの接客係を育てる際、「フロアは舞台であり、私たちはその舞台に立つ役者である。そしてお客様は観客である」ということを教える。よーするに、客はいつも見てるんだから、仕事中は接客係という役を完璧に演じろということだ。

そして風俗にしろ水商売にしろ、指名客をつかむということは、客にどれだけ惚れさせるか、と言っても間違いじゃない。惚れさせるために、好かれやすいキャラを作り、都合の良い嘘をつき、相手のペースに合わせた会話をし、どんなにつまらないギャグにも「死ね」と言わない。

そうして客の心にうまく入りこみ、「絶対また今度指名するからね」などというセリフを引き出せば、もう心の中でガッツポーズだ。「わあ、嬉しい〜」なんて可愛らしくはしゃいで見せながら、ドス黒い腹の中では「へっ、ちょろいぜ」なんつってんだ。

それを見抜けとは言わないが(見抜かれちまったらこっちの商売あがったりだ)、せめて「楽しく騙されよう」くらいの心構えでいてほしいものだ。

だいたい、風俗嬢だのキャバクラ嬢だのの言うことをいちいち真に受けるような「純粋」な心を持った人が、そんなとこで遊ぶこと自体が間違っている。
遊びを遊びとして割り切れないような奴は、最初から遊ぶ資格ないんだよ。自分が金を払ってることぐらい覚えとけ。私はその料金分のおシゴトをしてるだけなんだからよ。

それよりもさらに嫌なのが、こっちの言うことをいちいち疑ってかかる奴だが。過去によっぽど痛い目にあったのか、客への誉め言葉や「彼氏?いませんよ」等の台詞を、絶対に素直に聞こうとしない奴。

「嘘ばっかり」だの「またそんなこと言ってー」だの「どうせ商売でしょ?」だの「みんなそう言うんだよねー」だの、やたら卑屈になる馬鹿。救いようがない。
あーあーその通りですよ。商売でやってますよ。当たり前だろ、金貰ってやってんだからよ。本音だけでやってけるほど甘い世界じゃねえんだよ。

ほんとに馬鹿だと思うのが、こういう奴に限って「今度ご飯でも食べに行こうねー」とか言って誘うと、あっさりひっかかるんだよな。何なんだか一体。もちろんきれいにすっぽかしてやるけどな(そしてそいつは更に卑屈になるんだろう)。


そもそも女なんてものは、絶対に男より嘘をつくのが上手くて、男よりズルくて、男より芝居が上手いものだ。これはもう本能的なものじゃないかと思う。男よりも腕力的、体力的に劣った女という生き物は、こうした部分を強化して、自分の身を守るのではないだろうか。

よく、身体は女の最大の武器だと言われるが、それなら女の最大の防具は「可愛さ」 だろう。人は可愛いものに対して怒りを覚えるか? 可愛いものを見て嫌な気分になるか?

Sの客が、「最初は苛めてやろうって思ってたけど、あんまり可愛いからそんな気なくなっちゃったよ」だの、「こんなに可愛いんじゃ何もできないなあ」などと言う場合が、現実にある。それは女の子に対する単なるお世辞なのかもしれないが、この言葉が真実であれば、「可愛い」という感情を相手の心に植え付けることによって、攻撃意欲をそぐことは可能なのだ。女は、「可愛い」と思わせることによって、野蛮で乱暴な男どもから身を守るのではないかと思う。

嘘とズルさと芝居と可愛さを駆使して世を渡る女達。
そして風俗嬢は、間違いなく一般的な女よりもそれらの技術に長けている。

「素人っぽい子」「スレてない子」を好む客は多いが、たいていの子は計算してそういう雰囲気を出しているもんだ。そんな「キャラ」に惚れるのはいいとして、それを全人格だと思ってマジ惚れするのは危険だ。

だいたい、彼氏のいない風俗嬢ってどれくらい存在するんだろうか。
「彼氏はいないけど旦那はいる」というパターンは基本だろう。さらに「旦那はいないけど子供はいる」とかも定番。そんな相手の状況すら把握できないで、一人で勝手に舞い上がって「好きだ」の「愛してる」だの「結婚しよう」だのほざかれても困るっつーの。

恋するのは勝手だが、その前にもっと相手のことを知った方がいいんじゃないか? つっても、聞かれたところでホントのことなんか教えないんだけどね、私は。


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